マンチェスター・シティの指揮官、ペップ・グアルディオラが最近の記者会見で「申し訳ない」と謝罪する場面があった。だが、サッカーファンならすぐに気づくはず。グアルディオラがメディアを通じて選手にメッセージを送るとき、それは単なる謝罪ではない。「言葉の裏」を読むべき時が来たのだ。
今回の対象は、英国史上最高額でシティに加入したジャック・グリーリッシュだ。4年前にアストン・ヴィラから1億ポンド（約170億円）の移籍金でやってきた彼は、2022-23シーズンのトレブル（リーグ優勝、カップ戦制覇、CL制覇）では確かに貢献した。しかし、それから2年足らずで彼の立場は一変している。
グリーリッシュの不完全燃焼
数字は残酷だ。今シーズン、グリーリッシュがプレミアリーグで出場したのはたったの604分。22試合に出場してもゴールは2つ、アシストは4つという結果にとどまり、彼が「もはや必要ない」と感じるファンも出始めている。
そもそも今シーズン、グリーリッシュはマンチェスター・シティのスタメンをほとんど確保できていない。最後に先発したのは1月11日、FAカップでサルフォード・シティを8-0で粉砕した試合だ。それ以降、ピッチサイドからチームを眺める日々が続いている。
これにはいくつかの理由があるが、最大の要因は「他の選手の活躍」だ。特に注目されているのが、新戦力のジェレミー・ドクとサヴィーニョ。グアルディオラは彼らを「ゲームチェンジャー」と呼び、ゴールやアシストだけでなく、守備での貢献度も高く評価している。対するグリーリッシュは、まるで「過去の遺産」のように扱われつつある。
ペップの謝罪の真意とは？
グアルディオラは記者会見でこう語っている。
「彼が十分な出場時間を得られていないのは申し訳ない。でも、それは彼が悪いのではなく、他の選手がそれだけ素晴らしいプレーをしているからだ。」
一見すると温情のある発言だが、裏を返せば「今のチームには君の居場所がない」と言っているも同然だ。しかも、「これは個人的な問題ではない」とわざわざ断るあたり、少し含みを持たせたニュアンスすら感じられる。ペップの言葉は常に計算され尽くしている。そのため、この発言はグリーリッシュに対して「もっと努力せよ」というメッセージと取るべきだろう。
グリーリッシュは「売られる」のか？
実際、1月の移籍市場ではドイツのボルシア・ドルトムントやイタリアのインテル・ミランがグリーリッシュに興味を示していたという報道があった。このまま出場機会が得られない状況が続くなら、彼がマンチェスター・シティを離れる可能性は決して低くない。
だが、ここで注目したいのは、グリーリッシュ自身が今の状況をどう受け止めているかだ。彼のキャリアにとって重要なのは、プレー時間が少ないことに愚痴を言うのではなく、この苦境をどう乗り越えるかだ。彼にはまだ29歳という年齢があり、トップレベルで数年活躍できる可能性が残されている。
ファンが見るべき「現実」
グリーリッシュの現状に対して、ファンの意見は分かれている。彼のプレースタイルやキャラクターに愛着を持つ人々は「もっと使ってほしい」と願っている一方で、冷静なファンは「移籍金に見合う結果を出していない」と切り捨てている。
しかし、ひとつ確かなのは、マンチェスター・シティというクラブは「感傷」に浸る余裕がないということだ。ペップ・グアルディオラが率いるシティは、常に勝利を求めるマシーンのような存在だ。チームにとって最善の選択をすることが最優先であり、それに個人の感情が入り込む余地はない。
まとめ：グリーリッシュに残された選択肢
グリーリッシュがシティで再び輝きを取り戻すには、今の状況を受け入れた上で、自分自身のプレースタイルや意識を変える必要がある。さもなければ、他国のリーグで再起を図るという選択肢が現実味を帯びるだろう。
「過去の成功」にすがりつくのではなく、「今」の状況をどう変えるか。それが、ジャック・グリーリッシュがこれからのキャリアをどう切り開いていくかを決定づける重要なポイントとなる。