イギリスのMirror紙によると、アストン・ヴィラの若きストライカー、ジョン・デュランがロンドンでメディカルチェックを完了し、サウジアラビアのアル・ナスルへの移籍が確定的となったようだ。移籍金は7700万ユーロ（約114億円）＋アドオンという破格の額で、プレミアリーグの中堅クラブが若手選手を育てて高額で売却する、いわゆる“育成ビジネス”の成功例といえるだろう。
若干21歳のストライカー、なぜサウジへ？
デュランは今シーズン、公式戦12ゴールを記録し、アストン・ヴィラにとって貴重な戦力だった。しかし、彼の活躍が逆にサウジマネーを引き寄せた形だ。移籍の噂が加速する中、チャンピオンズリーグのセルティック戦ではベンチに座ったままで、試合後にはスタッフに別れのプレゼントを配っていたという。
ヴィラのウナイ・エメリ監督は「ウチの選手が他のクラブに注目されて、高額のオファーが来るのは当然の流れだ」とコメント。「クラブの成長のためには、時には選手を売りながら構造を維持しなければならない」と語り、移籍はクラブにとってもプラスだと強調した。
アル・ナスルの計画変更、デュランが最優先に
Mirror紙が伝えるところによると、アル・ナスルは当初、レヴァークーゼンのビクター・ボニフェイス獲得を狙っていたが、最終的にデュランを選択。そのため、ボニフェイスの移籍交渉は白紙に戻った。レヴァークーゼンのスポーツディレクター、シモン・ロルフェスも「ボニフェイスは残留する」と明言しており、サウジへの移籍は消滅したようだ。
サウジ行きは正解か？
デュランにとって、この移籍はキャリアの転機となることは間違いない。しかし、まだ21歳という若さで欧州を離れ、中東リーグへ行くのは本当に正しい決断なのだろうか？近年、サウジアラビアは巨額の資金を投じてスター選手を集めているが、欧州トップリーグと比較すると競技レベルは明らかに劣る。彼の才能が正しく評価され、成長を続けられる環境なのかは疑問が残る。
一方で、経済的な面では誰もが納得するだろう。これだけの移籍金が支払われるということは、選手の年俸も相当な額になるはずだ。プレミアリーグでの成功を夢見てきた若手選手が、巨額のオファーに負けてしまうのは、ある意味仕方がないことなのかもしれない。
まとめ：ヴィラの未来、デュランの未来
アストン・ヴィラとしては、育成した若手を高額で売却できたことは大きな成功だろう。しかし、デュランのような才能ある選手が、欧州のビッグクラブではなくサウジへ行くという流れには、一抹の寂しさも感じる。果たしてこの決断が彼にとって最良のものだったのか、今後の活躍を見守るしかない。
それにしても、サウジマネーの勢いは凄まじい。欧州のクラブやファンが「カネでサッカーが壊される」と嘆いている間に、次々と有望な選手たちが砂漠の地へ消えていく。サッカーの未来は一体どこへ向かうのか——？