サッカーの試合の中で、しばしば目にするのは勝者の勝ち誇った姿、そして敗者の悔しさをどこかで見せるシーン。だが、アーセナルとマンチェスター・シティの一戦では、その「挑発の行き過ぎたライン」を踏み越えてしまったプレーが物議を醸している。アーセナルのガブリエウ・マガリャンスが、シティのエース、アーリング・ハーランドに対して見せた行動だ。
試合の開始わずか2分、アーセナルが先制点を決めたその瞬間、ガブリエウはハーランドに向かって走り寄り、ハーランドの顔を前にして何とも挑発的な喜びを表現した。この行動が、元マンチェスター・ユナイテッドのキャプテンで解説者のギャリー・ネビルを激怒させる結果となった。
「これはちょっと不敬だな。たとえハーランドがヒール役だとしても、俺はこういうのは好まない。顔を前にしてあんなことをするのは見ていて気分が悪くなった。」とネビルは自身のポッドキャストでコメントした。確かに、挑発やいじりはサッカーの魅力の一部でもあるが、これは一線を越えていたというわけだ。
だが、このコメントを耳にしたアーセナルファンやサッカーファンの中には、「そんなこと言ってる場合か？」と思う人も多いだろう。アーセナルの選手たちがハーランドに対して挑発的な行動を取ったのは、単にこの試合の一場面だけに限らなかったからだ。
【「謙虚でいろ」と言ったのは誰だ!?】ハーランドの自業自得
まず、この試合に至るまでの経緯を振り返ってみよう。シティがアーセナルとの9月の対戦後、ハーランドは試合後にアーセナル監督のミケル・アルテタに対して「謙虚でいろ」と言い放った。ハーランドが何を考えてその言葉を口にしたかは不明だが、結果的にこの発言がアーセナルの選手たちを刺激し、試合の終盤に至るまで彼らの中で火をつけることになった。
試合後、アーセナルの選手たちがハーランドを軽く挑発するのは、ある意味で「仕返し」のようなものだ。特にガブリエウは試合を通じて、ハーランドに対して常に何かしら挑戦的な態度を見せていた。それが、2分に先制した時点で爆発したわけだが、サッカー界でよくある「やり返し合戦」ではないかと思われても仕方ない。
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そして試合の結果、アーセナルはシティを5-1という圧倒的なスコアで撃破。これがシティの今季のリーグ戦でのチャンピオン防衛をほぼ絶望的にしたのだ。
【アーセナルの挑発戦法】ラップで勝利の美酒を
また、この試合の後にはアーセナルのスタジアムで、ラップ界の巨星ケンドリック・ラマーの「Humble」が流れ、チームはさらに挑発的な一歩を踏み出した。ケンドリック・ラマーの曲を使ったのは、まさに「謙虚でいろ」というハーランドへの皮肉だろう。この行動もまた、ネビルには「不敬」と映ったに違いない。
だが、アーセナルファンや選手たちの立場を考えると、これこそがサッカーにおける“やり返し”だという感じだ。試合に勝って、相手を挑発して、さらに歌で皮肉を込めて勝利の余韻に浸る。これがサッカーにおける真の「勝者」の姿かもしれない。
【アーセナルの挑発行動に対する反発】勝ち誇りから煽りへ…「今こそ謙虚でいろ」の声
アーセナルの試合後の振る舞いが話題になったのは、何もガブリエウがハーランドに見せた挑発的な行動だけではない。試合の後に流れた挑発的な音楽も、観客席やピッチ上のアーセナル選手たちの“勝ち誇り”を象徴するかのようだった。だが、この行動に対しては、アーセナル以外のファンから厳しい声が上がっている。
現地シティファンや他のサッカーファンの中には、アーセナルの挑発的な態度に対して、「今こそ謙虚でいろ」という反応を示す声が少なくない。直近プレミアリーグ4連覇を成し遂げている王者を倒したのは事実だが、今期のシティの低調さは明らかであり、優勝戦線からは遠のいている状況。このチャンスにも関わらず、昨季と変わらない順位に位置し、他チームにTOPを譲っているのは傲慢になるには早すぎる。
リヴァプールを倒し、アーセナルの優勝が確定するまで謙虚に勝ち点を積み重ねることが、”stay humble”への最大の反逆かもしれない。
