プレミアリーグの戦場で、アーセナルがマンチェスター・シティを5-1で撃破した。この試合で、アーセナルの選手たちはピッチ上での戦術だけでなく、心理戦でも完全にシティを圧倒。特にターゲットとなったのが、マンチェスター・シティの怪物ストライカー、アーリング・ハーランドだった。
試合前からすでに火種はくすぶっていた。9月の対戦時、ハーランドはアーセナルのミケル・アルテタ監督に「もっと謙虚になれ」と挑発的なコメントを放っていた。その言葉が、今回の試合でアーセナルにとって絶好の燃料となったのは言うまでもない。
“謙虚になれ”のブーメランが炸裂
この試合のハイライトの一つは、アーセナルの選手たちがハーランドを徹底的に煽り倒した場面だ。
まず、試合の序盤。マルティン・ウーデゴールのゴールが決まると、アーセナルのDFガブリエウがハーランドの目の前で絶叫しながら祝福。まるで「お前こそ謙虚になれよ」と言わんばかりの態度だった。
さらに、試合の後半にはアーセナルの若手マイルズ・ルイス＝スケリーがハーランドの“お馴染み”のゴールパフォーマンスを完コピ。スタジアムは大盛り上がりで、まるで「今どんな気持ち？」とでも言いたげな空気に包まれた。
そして試合終了後には極めつけの演出。エミレーツ・スタジアムのスピーカーから流れたのは、あのケンドリック・ラマーの『HUMBLE』。そう、ハーランドが以前アルテタに向けて吐いた「Stay humble（謙虚になれ）」の言葉が、皮肉にも自分自身にブーメランのように突き刺さる形となった。
グアルディオラのリアクションがまた秀逸
試合後の記者会見で、ペップ・グアルディオラはこの一連の煽り行為について質問を受けた。すると、彼は「見てなかったけど……やったの？いいね」とあっさり。さらに沈黙の後、もう一度「いいね」とだけ繰り返し、その場を締めくくった。
しかし、会見を終えた後のペップは、マンチェスター・シティの広報担当に「俺の答え、気に入ったか？」と確認。まるで、試合では負けたが心理戦では引き分けに持ち込もうとするかのような姿勢だった。
試合の流れとシティの“崩壊”
実際の試合内容に目を向けると、シティも決して悪くはなかった。前半はほぼ互角の展開だったが、試合終盤に差し掛かると完全に崩壊。グアルディオラも「試合の最後の20分間を除けば、良い試合をしていた」と強調していたが、スコアがそれを許さない。
特に3-1になった時点でシティの選手たちは明らかに集中を切らし、守備のミスを連発。アーセナルはその隙を見逃さず、さらに2点を追加してトドメを刺した。
“煽り力”も一流のアーセナル
今回の試合でアーセナルが見せたのは、単なる戦術的な勝利ではない。メンタルゲームでも完全にシティを凌駕した。シーズンを通して一貫したスタイルで戦い続けているシティに対し、アーセナルは相手の過去の言動を逆手に取り、試合全体を通して心理的に追い詰めることに成功した。
そして、ハーランドを中心に組み立てられたシティの攻撃は、今回アーセナルの若手たちの“したたかさ”によって封じ込められた。
この試合でアーセナルは、ただ勝つだけではなく、相手を徹底的に打ちのめす“勝ち方”を見せつけた。特に今回のようなメンタル戦も含めたプレースタイルは、今後のプレミアリーグのタイトル争いにも大きな影響を与えそうだ。